毒を語り続けてきたこの場所で、
そろそろ“猛毒”の声にも耳を傾けるときが来た。
それは怒りというより、焦りから滲み出した記憶。
信じたものに裏切られたときの、
あの、芯から冷えるような感覚の記録だ。
私にはかつて、強く依存したスピリチュアルカウンセラーがいた。
その人は私の存在を、
「神々に選ばれし存在」だと持ち上げた。
ある日から私は、その小さなコミュニティの“神棚”に飾られるようになった。
実際に上座に座らされ、
皆の前で「特別な存在」として紹介されていた。
当時の私は自尊心がひどく低く、
ただ“好きな女性と穏やかに過ごせたらいい”というくらいの願いしか持っていなかった。
だがその場所では、私の望みなど関係なかった。
「ただ、座っているだけで人が集まるあなたは特別です」
私のスキルは見世物になった。
まるで、軒先に置かれた招き猫。
本物の能力より、雰囲気だけが商品として展示されていた。
招かれる客たちは、滑稽に笑い、
私の“在る”というだけの姿に、何かを重ねていたのだろう。
そのとき私は、ショーケースの中の人間だった。
誰の手にも触れられず、ただ見られているだけの。
あの空間から抜け出すのに必要だったのは、
そのカウンセラーの“保護”という名の檻から自分を解放することだった。
例え、ツインソウルとのご縁の鍵を
その人が握っていたとしても。
私はもう、誰かの宗教的な庇護のもとで
魂を展示されるような生き方をしたくなかった。
私にはまだ、生きているという確かな実感がある。
ならば、次のステージがきっとあると信じたい。
私は飾り物ではない。
誰かの信仰の供物でもない。
見世物の“能力”など、今この瞬間を生きる力にはなりえない。
光のない神棚に、私はもう戻らない。
生きた心で、次の風を迎えに行くために。
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