「引き寄せ」という名の呪いから目覚めるために
スピリチュアルブームの中で、いつの間にか当たり前のように語られるようになった「引き寄せの法則」。 「願えば叶う」「波動が高ければ現実が変わる」…そのような言葉に励まされ、希望を持った人も多いでしょう。
けれど今、私はあえてそこに潜む“毒”について語ろうと思います。 これは正義の糾弾ではなく、私自身の実感と体験からにじみ出た、ひとつの声です。
「引き寄せ」によって人生が劇的に変わった人は、どれほどいるでしょうか? 多くの人が、“なんとなく良くなった”という感触にとどまり、 本当に望んだ未来にたどり着いた人は案外少ないように思います。
その原因のひとつが、「願いを強く思えば叶う」という前提の危うさです。 願いと現実のギャップを無視したまま、「私は叶う」と言い続けると、 潜在意識では「叶っていない」ことを毎日再確認することになります。 つまり、叶わない現実のほうを強化してしまう。
さらに、「強く願えばよい」という考え方が、 他者を巻き込む“圧力”や“呪い”に変質する場合があります。 「絶対叶えたい!」という思いが、意図せず他人の自由意志や状況を侵食してしまうのです。
例えば、相手の気持ちを無視して「彼と付き合いたい」と願う行為。 一見するとポジティブな夢のようでも、 その裏には、相手の魂の選択や状況への無理解、 時には支配的なエネルギーが含まれていることもあります。
そもそも「引き寄せ」は、世界のバランスと密接につながっています。 誰かが極端に幸せになると、どこかにしわ寄せが起こることもある。 エネルギーの総量が循環の中で保たれているとすれば、 “押し出す願い”には必ず“引かれる誰か”がいる。
だからこそ、「まず環境を良くする祈りから始めること」。 自分だけでなく、他人の幸せも自然と育つような願いが、 本質的な願望実現への第一歩だと私は思います。
では、どうすれば「引き寄せ」が歪まず、毒にならずに働くのか? その鍵となるのが、**「純粋性の保持」と「器の育成」**です。
純粋性の保持とは:
- 世間の期待や他人の願いに塗りつぶされていない
- 自分の本質(感性・資質・方向性)を見失っていない
- 良い人になることではなく、自分で在ること
器の育成とは:
- 今のスキルを正確に把握する
- 今叶えられること、叶えたいこと、いずれ叶えたいことを明確にする
- それらの「差」を冷静に認識し、段階を踏んで広げていく
器が整うことで、無理のない願いが自然と叶い始め、 争いや奪い合いが起こらない「静かな引き寄せ」が可能になるのです。
あなたが「引き寄せ」を稼働させたいのなら、 まずは他人の領域を侵さずに、自らの純粋なエネルギーで動けているかを問いかけてみてください。
願望とは、戦略や野心ではなく、「在り方」の延長に生まれるもの。 強く願う必要はない。 ただ、あなた自身があなたのままであること。
それが、この世界と自然に響き合い、 ほんとうの意味で「叶う」世界へとあなたを導いてくれるのです。
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