MENU

【毒の声】 才能はいつも、鞘の中にある

使いたいときに出せない力と共に、生きること。

この力が、いつでも使えたらいいのに──
そんな思いが、心の片隅でずっと渦を巻いていた。

自分の中に確かに在る“何か”。
だけどそれは、誰かの問いや必要に応じてしか動き出さない。
自分のタイミングでは鞘から抜けず、
他者の欲や望みに合わせてようやく姿を現す。

それが、私の持つ才能の形だ。


この力は本来、
お金や問いかけによって作動する仕組みになっているのかもしれない。
そして私は、その才能を“自由に使えないこと”に、
ずっとモヤモヤしたものを感じてきた。

あなたにはありますか?
自分のタイミングで使いたいのに、
周りの空気や他人のペースに左右されてしまう力。


人との関わりが増えるほど、
小さなお願い、小さな期待、無意識の願い──
それらに反応して、少しずつ自分の力を消費していた。
無自覚のまま、差し出していた気がする。
人気や信頼のような形で、人との距離を結んでいたけれど、
それもまた、小さな“手形”のような契約だったのかもしれない。


最近はふと思う。
毒々しいくらいの自分も、もう否定しなくていいのかもと。
嫉妬、焦り、強欲、自己嫌悪。
そのどれもが、私という存在の一部であり、
才能という名の“毒の鞘”に刻まれている文字のようなものだ。

それでも、共鳴してくれる人が現れるなら、
この力に手を伸ばしてくれるなら──
私はきっと、それが何よりの希望になる。


私にはルーツがある。
それは、癒えない記憶や、忘れたふりをした痛みでできている。
でもその根からしか、花は咲かないことも知っている。
毒にまみれた根からこそ、
届いてほしいと思う祈りが、やっと芽吹く気がするから。


才能が動くとき、光があふれる。
でもその瞬間、周りに誰もいないこともある。
逆に、穢れや不調のときほど、人は心配して集まってくる。

矛盾しているようで、それが人間らしいとも思う。

だから私は今、
この力が腐らないように、
鞘の中で静かに呼吸をしておく。


今はまだ、見えない。
だけど、必ず花が咲くと信じて。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次